年頭の挨拶に代えて

塾の役割

塾である以上は成績、点数を伸ばすことが第一義的なものであると考えております。点数を伸ばす、またテストの点数を指導者が把握していくことは必須のことです。一方で、学力そのものを向上させ、学歴や相応の偏差値を身につけることは実際には子どもの人生の幸福度にはあまり影響を与えない、ということがエビデンスとしてあるのも事実です。

自己決定度という視点

学術的には「自己決定度」が本人にあるかが人生の幸福度に影響を与えると考えられています。自己決定度とは自分が自分の人生を選択したと思えること、ということと言えるでしょう。

 

教員時代も含め、これまでたくさんの子ども達と出会ってきました。

特別支援学校では重度の寝たきりのお子様にも関わらせていただきました。こちらの働きかけをどこまで感じているのかわからない、また相手の発信もわからない子達に対して何をするのか、言葉を教えること、計算の仕方を教えること、感性を磨くために情操教育を施すこと、そういったことではなく、何よりも優先的にあることは「相手の意思がどこにあるのか」を探ることでした。『~君、これとこれ、どっちがいい?』たくさんこのような場面に出くわします。

当然、微力な反応しか返してくれませんので、そこは積極的に間違いもあるという前提で、『こっちだね』と反応を意味づけしていきます。

つまり、本人が意思を示した先に何かが発生する、ということを知ることが人間の活動の根幹にあるということだと思えます。これは何も重い障害がある子に限ったことではなく、定型発達の子でもどんな子でも当てはまります。

自立とは

教育の究極の目標はその人間を自立させることです。「自立」とは自分で自分のことができるか、自分で考え、決め、行動することができるか、ということになります。単に好きなことを自由にするということではなく、当人が自分の意思で決定しその結果も受け止める、というプロセスに意義があります。思い返すと、当然のことながら、日常の中で自己決定度が高いと思われる子は塾での学びも積極的であり、成績の伸びも目立ちました。

教育は国家の基盤

子どもは将来の財産です。各ご家庭が自分の家という狭い枠組みではなく、日本という国を作っているんだ、というような本当の意味での意識を高く持った子育てに取り組んでいただけると幸いです。私も子ども達の成長に少しでも力になれるように頑張る次第です。

少々熱っぽくなってしまいましたが、最後まで読んでくださりありがとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

国という大きな枠組みを感じさせられ、自分に何ができるのだろうと考えた2024年初めに。