感情に言葉を与えるということ

発達障害の子ども達は自分の感情に気づきにくい。今、生じている感情をどう扱えばいいのかわからず、結果としてパニックになってしまうこともある。だから、感情に言葉を与えてあげたり、可視化したりして感情を整理させることが支援の一つとしてある。よく感情のラベリングということも言われる。

 

しかし、感情って言葉にすることができないから感情なのだ。ここが難しい。

 

私の教員時代にこんなことがあった。

 

ある男の子が課題ができず、怒ったような態度をとった。私は、ついその態度に反応をしてしまい、男の子を注意をしたか諭したような気がする。だけど、横で見ていた女の子がこう言った。

 

「〇〇君、悔しかったんだよね」

 

ハッとした。そうだよな、この子は悔しかったんだ。表面的にしか生徒を見ることができていなかった自分が情けなくなった。

男の子の気持ちを素直にシンプルに表した言葉、「悔しい」。すごく的確だし、その子への思いやりも感じる。その言葉の中に男の子の心の深い部分が感じることができる。きっと一生懸命に課題に取り組んだんだ。

 

今でも思い出す。

感情に言葉を与えることは、その人を思いやることでもある。

ネガティブな感情に、優しく思いやる言葉を与えられるような指導者でありたい。